安倍総理は、4月7日の夕方に緊急事態宣言を出すことを決めました。
対象は日本全国ではなく、「東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県」で、期間は1ヶ月程度としています。
安倍総理は緊急事態宣言を出す目的は、「感染につながる人と人との接触を極力減らすため」としています。
具体的に「感染につながる人と人との接触を極力減らす」とはどのようなモデルを想定しているのでしょうか?また、実現可能なのでしょうか?
専門家(大学教授)の試算をもとにして説明したいと思います。
感染につながる人と人との接触を極力減らすとは?
安倍総理は、このまま新型コロナウイルス感染者が増えると医療崩壊につながるので、新型コロナウイルス感染者を増やさないために緊急事態宣言を出します。
この宣言には「感染につながる人と人との接触を極力減らす」ことが掲げられています。
なぜなら、「人と人との接触を減らすことが出来れば感染者数が減る」からですね。
ただ、緊急事態宣言では「出勤規制はない」となっています。
単純に考えて、サラリーマンの多くは出勤のための通勤と会社での同僚や得意先さんとの接触が一番多い人との接触です。
素人ながら、強制力がなく、出勤規制のない緊急事態宣言で人と人の接触を減らすのは難しと考えます。
このことに関して、北海道大学のに西浦博教授は「東京都の感染急増」に関する試算をされています。(4月7日ひるおびより)
人と人との接触をどの程度減らすことが必要かについて次のような試算をされています。
【人と人との接触を2割減らした場合】
流行を数日減らすことは出来るものの、爆発的な感染者を減らすことは難しい。
【人と人との接触を8割減らした場合】
潜伏期間があることを考慮に入れると、2週間後には急激に感染者数を減らすことが可能。
今回の緊急事態宣言は、「人と人との接触を8割減らす」ことで、新型コロナウイルス感染者を2週間後を目処に急激に減らすことを目的にしていると言えそうです。
ここでいう、「人と人との接触」とはどのような接触を意味しているのかですが、次のような接触を想定しています。
出典:ひるおび(2020年4月7日)
- 近い距離での会話
- ちょっとした人との体の接触回数
次は、「人と人との接触を8割減らす」にはサラリーマンの1日の行動でどの部分を減らす必要があるのかを見てみましょう。
サラリーマンが人と人との接触を8割減らすにはどこを減らせば良いのか
「ひるおび」の中では、次のようなモデルを使って「サラリーマンが人と人との接触を8割減らすにはどこを減らせば良いのか」を説明していました。
【前提条件】
家族4人暮らしのサラリーマンが1日の時系列の中で人と接触するであろう場面と人数をモデルとして試算
【試算】
場面 | 接触人数 |
---|---|
自宅 | 4人 |
電車 | 約20人 |
エレベーター(職場) | 約10人 |
職場 | 約10人 |
ランチ | 約5人 |
居酒屋 | 約10人 |
電車 | 約20人 |
スーパー | 約5人 |
上記はあくまでモデルということですが、「人と人との接触」を考える上では問題ないと考えます。
上記の接触者の合計は『84人』です。
84人の中でも「自宅」と「スーパー」は減らせません。
となると、「自宅」と「スーパー」以外で67人減らさなければならないということになります。
ご覧いただくと分かる通り、人と人との接触が多いのは「出勤」絡みの接触です。
例えば、次の場面です。
- 電車
- エレベーター(職場)
- 職場
- ランチ
上記だけで「65人」になります。
ということは、今回の緊急事態宣言の目的である「人と人との接触を8割減らす」には、「出勤をなくす」ことが必要条件だと言えます。
サラリーマンが会社に「出勤」する限り、人と人の接触は減らせないということになります。
政府は、だから「テレワーク」が必要だといいそうですが、情報漏えいなどのリスクを考えると、簡単に社員が自宅から会社のネットワークを介してコンピューターにアクセスすることはリスクが高くなりますので、急にテレワークを実現するのは難しいと考えます。
まとめ
安倍総理が本日夕方に緊急事態宣言を出すことが決まりましたが、ここまで伝えられている内容から緊急事態宣言により想定された目的が達成出来るのかについてモデルを用いて説明させて頂きました。
結局の所、緊急事態宣言を出したとしてもサラリーマンが出勤している限り、人と人との接触は減らすことが出来ないので緊急事態宣言により得たい結果を実現することは難しいと考えてしまいます。