矢崎学九段は将棋の棋士で、将棋界のスターである羽生善治氏と同級生なのですが、ご存知でしょうか?
引用元:文春オンライン
もちろん、羽生善治氏の同級生というだけの棋士ではなく、現在の将棋界で注目の的である藤井聡太さんと同様に10代の頃から注目されるだけでなく実績を出してきた方なのです。
しかし、矢崎学九段は2017年突然「一身上の都合」を理由に将棋の世界から姿を消しました。
矢崎学九段が将棋の世界から姿を消して1年以上経過したのち、当時のことを明らかにしたのですが、その内容を聞いて考えさせられることがあったのでご紹介します。
矢崎学九段がある日突然将棋会から姿を消した!
矢崎学九段がある日突然将棋界から姿を消したことはお伝えしました。
ここでは、矢崎学九段がどのような方だったのかをお伝えしたのち、なぜこのような実績を持っている方が突然将棋界から姿を消したのかをお伝えします。
17歳でプロデビューを果たした矢崎学九段
記事の冒頭で矢崎学九段は将棋界のスーパースターである羽生善治氏と同級生であることはお伝えしました。
ただ、羽生善治氏と同級生だからといって将棋界で実力がなければ只の同級生に過ぎません。
しかし、矢崎学九段についてはプロになる前からの経歴も素晴らしく、将棋界では一種のレジェンドと言ってもよいかもしれません。
藤井聡太さんは中学生でプロデビューを果たし優勝したことで、日本全国に名前を轟かせました。
羽生善治氏にも勝利するなど藤井聡太としての実力を発揮しています。
矢崎学九段の場合、11歳の小学生の時に奨励会に入会しており、17歳でプロデビューを果たしています。
これだけ聞いても、将棋をしていない方からすると、どれ程凄いことなのかはわかりませんね。
将棋界では4段からプロになるのですが、4段になるには奨励会に入ることが必要で、奨励会で3段に昇段するだけでなく、所定の成績を収めなければ4段(プロ)にはなれません。
矢崎学九段の場合は、小学生で奨励会に入会し、高校生の時に4段(プロ)になっているのです。
更にいうと、今から30年前の1990年には当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった羽生善治氏に勝ち初優勝を果たしています。
そして、2014年には将棋界の最高峰である九段に昇段しています。
将棋界では、タイトル保持者は竜王、王将、棋聖などの称号が呼称になりますが、タイトルを保持していない場合は段位が呼称となります。
現在、羽生善治氏も九段ですので、羽生善治九段と呼ばれています。
矢崎学九段は将棋界でも最上位に位置する棋士ということが出来ます。
そんな矢崎学九段がある日突然将棋界から姿を消すことになるのです。
矢崎学九段が将棋界から姿を消した理由
矢崎学九段が将棋界から姿を消したのは2017年9月のことです。
2017年といえば、藤井聡太さんが快進撃を続けている時期と重なり、将棋界が大注目されており、将棋界も盛り上がっていましたのでプロ棋士たちの意識も高まっている頃でした。
そんな状況の中、なんの前触れもなく、突然「一身上の都合」ということで矢崎学九段は将棋界から姿を消すのです。
当時は、「一身上の都合」とは何なのか、理由は明らかにされなかったのです。
矢崎学九段が将棋界から姿を消して1年弱が経過した頃になってから一身上の都合が何だったのか明らかにされたのです。
その理由とは、
『うつ病』
だったのです。
「うつ病は死にたがる病気」を実体験した矢崎学九段
矢崎学九段は「うつ病」になったわけですが、さまざまな体験をすることになるのですが、ある時から「死につながるイメージ」を連想するようになったことから「うつ病は死にたがる病気」だと語っています。
矢崎学九段に起きたうつ病の症状についてみてみましょう。
矢崎学九段におきた「うつ病の症状」
うつ病は「心の病」とも言われたりもしますが、厳密には誰もが発症する病でもあるのです。
なぜなら、「うつ病とは縁がない」と思っている人が矢崎学九段と同じように何の前触れもなる突然発症する病だからです。
「うつ病」が怖いのは、徐々にうつ病の症状が出ていても気づかすに発症することです。まるで茹でガエルのように。
というよりも、「何かおかしいぞ」と思っていてもうつ病だと認めたくないという意識や、そもそも今の状態が「うつ病」と結びつかないのかもしれませんね。
そして、自覚症状が現れたときには自分自身ではどうにもならない状態になっていることが多いようです。
矢崎学九段も当初は、次のような状況だったといいます。
- 対局に集中出来ない
- 思考がまとまらない
- 考えずに将棋を指している
通常だと「異常」な状態だったとしても、「休めば良くなる」と安易に考えてしまいがちです。
このような状態になった矢崎学九段ですが、瞬く間で一気にうつ病の症状が悪化します。
うつ病の怖さ!わずか10日で一気に症状悪化
矢崎学九段が将棋界から姿を消すのは2017年9月ですが、実は2ヶ月前の2017年7月には将棋にある症状が出ていました。
その症状とは「集中力の欠如」です。
将棋は、一手一手先のことを考んがえて指していきますが、その際は頭の中で様々なことをシミュレーションし、最後は「これだ!」というものを決断して指すことになります。
しかし、当時の矢崎学九段は集中出来ない状況に陥っていましたので、思考がまとまらないのです。
思考がまとまらないということは決断出来ないのは言うまでもありません。
矢崎学九段はこのような状況に陥ってからわずか10日ほどで「朝起きれない」「眠れない」「眠りが浅い」「不安が続く」などの症状を引き起こすまでになってしまいます。
とても対局に挑めるような状況になかったので、将棋界から姿を消すことになるのですが、その理由を「一身上の都合」としたのは病名が「うつ病」だったからにほかなりません。
そして、入院することになるのです。
藤井聡太さんの出現で将棋ブームが沸き起こっている時にうつ病になったことで、矢崎学さんは「情けない」と自分を責めるようになり、胸が苦しくなり、過呼吸で呼吸が浅くなり、常に頭に1kgの重しが乗っているようだったと言います。
「自分を責める」というキーワードは「うつ病の代表的な症状」ですね。
うつ病の怖さ
うつ病が恐ろしいのは「死」が関係する病気だからです。
筆者の周りでもうつ病が原因で自ら命を絶った人を何人か知っています。
うつとは無縁のような性格の友人がうつ病で入院し顔の表情をなくした姿をみて驚いたことを覚えています。
また、芸能人でも多いですね。
矢崎学九段の場合もうつ病の症状が続くことで「死ぬことをイメージ」するようになったとのことです。
そして自身の著書の中でも「うつ病は死にたがる病」だと語っておられます。
うつ病と診断された方は「頑張っています」。
なんとか良くなろうと頑張っても良くならずに余計に自信を失い気分が落ちます。
だから、うつ病の人に向かって「頑張って!」は禁句なのです。
矢崎学九段の場合、「藤井聡太さんの登場で将棋界が注目されてる時に自分は何をしているんだ!」と自分を攻めたようです。
矢崎学九段が1年で現場復帰出来たのは親族(お兄様)に精神科医がいて、親身になって対応してくれたことです。
自分を責めることをやめよう
人間、生きて生活しているといろいろな事があります。
しかし、他人から責め立てられて自分を追い込んでも何もよくなりません。
「良い結果が出れば次はもっと頑張らないといけない」
「悪い結果が出ると自分を責め、やる気がなくなる」
自分の身は自分で守るしかありません。
他人は責任をとってはくれません。
自分を攻めて死を選ぶくらいなら何だって出来ます。
たとえ会社で失敗したとしても会社は潰れません。
でも、このように考えられる状況だと「うつ病では無い」んですね。
企業の一社員の失敗で会社が潰れるようなことはありません。
なぜなら、会社を潰すような決定事項の権限を持っていないからです。たとえ、管理職であってもです。
社員がうつ状態であることを知っていながら攻め立てるような会社なら、社員をトカゲのしっぽとしか考えておらず、何か問題が発生するとトカゲのしっぽ切りと同じで決して会社は社員を守ってくれないでしょう。
今の時代、正社員として雇われなくても生きていくことはできます。
苦しい理不尽な環境にいて命を落とすのであれば収入は低くても日々楽しく生きるほうが人間らしく生活出来るのではないでしょうか。
まとめ
今回、矢崎学九段がうつ病になった経験を本に出すと聞き、自分の周りで起こったことも思い出し、「うつ病の怖さ」について書いてみようと思いました。
うつ病は自分を責め、自分自身を自分がおとしめていき、最後は自殺に追いやることも珍しくありません。
うつ状態になってしまえば正常な判断は出来ませんので、「うつ病」のことを少しでも頭の片隅にでもおいておけば最悪の状態は避けられると思い記事とさせていただきました。