エアコンをつける時期がやってくると気になるのが臭いではないでしょうか。
エアコンと言っても、エアコンには冷房と暖房、そして除湿機能が設けられているのがほとんどだと思います。
中でも臭いに関するのは「冷房」と「除湿」。
特に除湿では臭くないのに冷房になると臭いという経験をしたことはないでしょうか。
エアコンの冷房機能と除湿機能の共通部分と異なる部分を理解することによって、なぜ冷房で臭うのかを説明してみます。
エアコンの冷房機能と除湿機能
エアコンの冷房機能と除湿機能は共通部分が多くあります。
基本的にエアコンは室内機と室外機に分かれ、室内機と室外機はパイプでつながれており、パイプの中は冷たい液体である冷媒という物質が流れています。
そして、室内機と室外機には熱交換器が設置されており、室外機には吸気を圧縮するコンプレッサー(圧縮機)が設けられています。
図で説明すると下記のようになります。
引用元:http://www.athome.tsuruga.fukui.jp/nuclear/information/athome/178/s_01.html
冷房と除湿の場合は上図の下部分を御覧ください。
冷房と除湿の役割の違い
部屋の温度を下げるために冷房や除湿を行うわけですが、本来はそれぞれで役割は異なります。
冷房の役割は、「室温を下げること」で、
除湿の役割は「室内の湿度を下げること」です。
冷房の仕組み
冷房は室内の温かい空気をエアコンに吸い込み、空気に含まれる熱のみを室外に放出し、熱を取り除いた空気を室内に戻します。
とはいっても、室内の温かい空気の熱を一気に取り除くことは出来ません。
室内の空気をエアコンで熱を取リ除き、残った空気を部屋に戻すというサイクルを繰り返すことによって、徐々に部屋の空気は冷えていくのです。
では、除湿はどのような仕組みで部屋の湿度を下げるのでしょうか?
除湿の仕組み
実は、基本的には冷房と大きくは変わらないのです。
除湿機能は弱冷房除湿機能とも言えます。
除湿機能は冷房ほど部屋の熱を取り除くことは役割としても持っていないものの、部屋の湿度を下げるために少しだけ冷房機能を働かせるのです。
具体的には、部屋の温かい空気から熱を取り除き部屋の外に出すことです。
部屋の温かい空気を室内機に取り込むとその空気は熱交換器に入ります。
ここで、熱はパイプの中の冷媒に取り込まれ、残りの空気が部屋に戻されるわけです。
この時、熱交換器内では、冷媒が温かい空気を取り込んだことで水滴が付きます。
引用元:https://www.daikin.co.jp/school/class01/lesson04/index.html
温かい部屋に氷が入ったコップを持ってきたり、冷えた缶ジュースや缶ビールなどを持ってくるとコップや缶の周りに水滴が付くのと原理は同じです。
引用元:https://www.daikin.co.jp/school/class01/lesson04/index.html
この現象は、熱を持った空気が冷やされたことで空気が熱を放出し液体となったのです。
なぜなら、温かい空気は多くの水分を溜め込むことが出来ますが、空気の温度が下がると空気が溜め込める水分量が減るからです。
除湿機能は、熱交換器に溜まった水分を室外に出すことで室内の空気から水分を取り除いているのです。
熱交換器に水滴を作るためには、冷房の部屋の空気から熱を取り除く作業が必要なわけです。
とはいっても、除湿の目的は部屋の温度を下げることではありませんので、冷房の機能を強力に作動させるのではないため弱冷房と言います。
ここで、次のように思いませんか?
だったら、「なぜ冷房だと臭うの」と。
筆者も同じように思いました。
でも、冷房で臭う時の設定温度は高くないですか?
冷房と除湿では熱交換器の状態が異なる
先程、除湿は弱冷房と言えると説明しました。
除湿の基本的な仕組みは冷房と同じだからです。
しかし、冷房と除湿では熱交換器の状態が異なるのです。
冷房運転する時の大きな目的は空気中の熱を取り除くことなので、熱交換器の温度を特別低くことはありません。むしろ、省エネを意識しています。
一方、
除湿運転する時の目的は、空気中の水分を取り除くことなので、熱交換器を冷やしてなるべく多くの結露が熱交換器に付きやすいようにします。
ここが大きなポイントです。
エアコンが冷房では臭いのに除湿では臭くない理由を説明します。
エアコンは除湿では臭くないのに冷房では臭い理由
空気中にはホコリや臭いが含まれています。
これらの臭いはエアコン内部、特に熱交換器に残るのです。
除湿運転の場合は、熱交換器の温度が結露する程下がりますので、空気中のホコリや臭いも凍るため臭わないのですが、冷房運転の場合は熱交換器の温度が除湿運転時ほど低くないため空気中のホコリやエアコン内に溜まった臭い成分がそのままエアコンから室内に戻されるのです。
これが、エアコンが冷房では臭いのに除湿では臭くない理由です。
但し、冷房でも室温設定が低く設定されている時は臭わないのではありませんか?
これは、室温を下げるために除湿運転と同様に結露するほど熱交換器の温度が下げられたからです。
要は、除湿運転のように熱交換器の温度が臭い成分を凍らせるほど低いか高いかで、エアコンから出てくる臭いが臭いか臭くないかが決まるということです。
まとめ
エアコンが冷房では臭いのに除湿では臭くない理由についてお伝えしました。
エアコンから出てくる臭いが臭くなるのは、空気中のニオイ成分やエアコン内に付着したニオイ成分が凍るか凍らないかで決まります。
除湿運転や冷房でも温度設定が低ければ熱交換器の温度が下がりニオイ成分が凍るためエアコンから出る空気の臭いは臭くないというわけです。